天皇賞春回顧(ラップ分析)2017


レース総括
■(実質的に)道中高い水準で進み→上がりは早仕掛けの展開
■相当に高い持久力&持続力が問われた


天皇賞春結果


キタサンブラック3.12.5 35.3 02-02-02-01
シュヴァルグラン3.12.7 35.2 05-05-04-03
サトノダイヤモンド3.12.7 35.0 07-07-07-05
アドマイヤデウス3.12.8 35.2 03-03-04-03
アルバート3.13.3 35.3 09-09-10-08

天候:晴 芝:良
上り4F:47.7 3F:35.5
4F毎ラップ:46.9-47.6-50.3-47.7
12.9-11.5-11.2-11.3-11.4-11.6-11.6-13.0-12.5-12.7-12.6-12.5-12.2-11.6-11.7-12.2

天皇賞春ラップタイム


レースラップ分析


ラップタイムを見ると、スタート~1コーナーまでが極端に速い流れになり、
その後の道中は展開としては一旦落ち着いて、勝負所でしっかりと加速しつつ
→最後は右肩下がりの形。

もちろんこれは飛ばした逃げ馬が作ったラップで、後続の、向こう正面から
徐々に→3コーナー前後で一気に詰めて→ラスト3Fで前を飲み込んだ…という
挙動を考慮すると、前半ミドルペースくらいで入りつつ→道中の水準が高く
なって→尚且つ仕掛けも早い…というのが実質的な展開。

今回の場合、この距離での厳しい水準のレースなので、高い持久力は当然必要
だった訳だが、スピード馬場における早仕掛け…という部分で、絶対的に速い
ラップを踏む区間が多く、(中身よりも)肉体的に高い負荷が掛かったはず。
その点、中距離的な資質が(例年以上に)強く問われた印象がある。

そして、そのような性質のレースにしたのは、半分は逃げたヤマカツライデン
だが、もう半分はキタサンブラック自身。(流れに乗っかった形ではあるが)
これが今回の凄いところ。

速い馬場とは言え、逃げ馬は明らかにオーバーペースだった(これを武豊Jが
読み違えるはずがない)中で、後ろの馬もそこまで強気には押し上げて来ない
…というのが3コーナー前後の状況だった。

つまりは、本来は3コーナー過ぎで、もう少し待とうと思えば待てたはずなの
だが、武豊Jには抑える気配が全くなく、一気に坂を下って前を捕え、早々と
先頭に立つような競馬を選択した。

要は「ついて来れるものなら、ついて来い!」くらいの絶対的な自信を持った
強気な騎乗で持続力→地力勝負を仕掛け、(走りの効率も含めた)持久力や、
持続力が足りない馬を自ら淘汰した格好。

当然、後ろを潰しつつ→そのまま押し通したキタサンブラックは相当強いし、
それに喰らいついて行った上位馬も素直に強いと思える。

したがって、コース取り…という部分に関しては、内を通った方が有利だった
ことは間違いないものの、最内から進めたような馬が必ずしも好走している
訳ではないし、言われている程ではないのでは…という気持ちが少しある。
(影響は細かい着の違いなど限定的で、単純に地力の高さが物を言った印象)

それ程に高いレベルでの持久力&持続力が問われたレースで、そのどちらかが
少しずつ足りなかったのが5着以下の馬…というイメージ。
上位の今後の活躍は当然だが、敗れた馬の適鞍での巻き返しも、この先普通に
あるだろうし、ここの出走馬というだけでも追い掛けて損はなさそう。


各馬について


出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

キタサンブラック
今回の挙動、その強さに関しては前述の通り。
これまで宝塚記念の厳しい展開での粘り、有馬記念のロングスパート戦での
粘り、大阪杯の勝利…というように、中距離的な資質を磨いてきたことがこの
勝利にはつながっているイメージ。
そして、大阪杯の回顧でも少し書いたが、この資質は"切れ"が消されやすい
シャンティイ凱旋門賞に対して大きな武器になる。
この激戦での反動も気になるし、宝塚記念を使うことで準備期間もそれほど
長くはとれない…という厳しさはあるが、実力的にも&適性的にも、本当に
可能性を感じさせる。今からそわそわする。

シュヴァルグラン
前半福永Jはあわよくば最内に入れようとしているように見えたが、田辺J
&岩田Jに阻まれて、終始内から2頭目を回る格好になった。
勝負所では、サトノダイヤモンドが他とやり合っている中で、自身のリズムを
守れた…という部分もあるが、ピッタリ周って来た訳でもない中で相手を抑え
切ったこと自体、力の証明になっている。
展開が厳しくなり過ぎて、元々の地脚の強さが活きた…という側面もあるの
かも知れないが、スピードに寄った展開にも対応できたことは今回特に大きな
収穫だと思えるし、これが出来るようなら、距離短縮でも十分に期待ができ
そうなイメージ。次戦、今年は少し違う結果になるのかも。

サトノダイヤモンド
コース取りに関しては、6つのコーナーのうち、半分の3つのコーナーでは
内から2頭目を通っていて、外枠を考えればルメールJは最大限ロスのない
騎乗をしているし、キタサンブラックに対してはともかく、シュヴァルグラン
と比べれば、極端に外を回っていたという訳ではない。
それよりも今回気になったのは、2周目の3~4コーナーの挙動。
まずは外を押し上げてきたディーマジェスティに対応して、その後内→外へ
圧力を掛けてきたシャケトラに対応する形で、(結果的に4コーナーでは外に
膨らんでいるように)斜めに力を使った印象が強い。
ナムラシングンに捲られた皐月賞を思い出させるような負け方。
この点、(軌道の修正がしづらい)大きなフットワークをする馬には影響は
小さくなかったはずで、最後の最後は惰性を効かして迫ってはいるものの、
直線では結局良い脚は使えなかった。
(突っ掛かって来た2頭とも玉砕しているのだから、これは不運)
もちろんキタサンブラックと比べれは、中距離的な資質の部分で鍛錬が足りて
いない…というのは明白で、個人的にもその点のイメージはしっかり更新して
おきたいところだし、とりあえず凱旋門賞を目指すのであれば、今すぐ海を
渡った方が良さそうな雰囲気…。

アドマイヤデウス
速いラップを刻み続ける形で一昨年の日経賞を勝ち切っていて、元々持続力に
優れた馬ではあるので、今回の条件で好走する下地は確かにあった。
それでもこの馬が進めた位置取りは、本来はシャケトラかシュヴァルグランが
取るべきポジションだったはず。
それを10番枠からの発走ながら、あまり無理のない形で取り切った岩田Jの
腕によるところもやはり大きい。
昨年ついに1つも重賞を獲れなかった岩田Jだが、今年は既にG3を3勝して
いて、G1でも好走が目立っている。
"戻って来た"馬にも鞍上にも、この先しっかりと注目していきたい。

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